Nightwalker

サーバー、レジ等の入れ替えは、
結局、日付が翌日へ変わりしばらくして終了。
作業中の数時間、時々業者からの問いに答える以外は、
読書をして過ごし、途切れながらもなんとか一冊読み終えた。
問題は、その後...。
終電はその時点で、過ぎ去っていた。
自分の口座がある銀行は、来年からの合併に向けた
システム工事だかのために、
ATMから引き落としができなかったのだ...。
財布には、小銭すら寂しい状態。
あとで引き出せばいいと構えていたけど、
今日中はいつでも使用できなかったらしい...。
店で独り眠るのは、色々嫌な噂を憶えていたので抵抗があり、
微かな希望を持って店を閉め駅近くへ。
不用心に呆れるが、だんだんと胸が高鳴ってゆく。
マンガ喫茶、ネット喫茶の類いが知らぬ間に幾つもできていて、
片っ端から入ってはみるが、案の定クレジットカードお断りで、
どこにも入れなかった...。
しょうがなく数あるカプセルホテルをあたってみるが、
そこでも同様で、辟易した。
途中、中年男性に声をかけられたが、
何と言っているのかわからず無視してしまった。
それにしても、小雨まじりの日曜の夜とはいえ、
誰も歩いていない通りがある...妙な気分だった。
やっぱり店に戻るか...と諦めていた矢先、
旅館だと見過ごしていた建物に"カプセル"の文字を見つけて、
しかも自分の持つクレジットカード会社の看板が掲げられていた。
他のカプセルホテルと比べても、入り口だけでさえ経年の劣化が目につき、
まぁ泊まれるだけいいかとようやく一息つけた。
一時間余だらだらと歩き廻って、最近の体調不良も加えてさすがに疲れた。
 

生まれて初めて泊まったカプセルホテル...。
よく見れば、殆ど埋まっていた。
隣の客の鼾が凄まじかった。
こういうのもたまにはいいかなぁと想いつつ、
なんだか寂しくもあった。
風呂に入る気にもなれず、早朝まで寝て始発くらいには出ようと
携帯のタイマーを合わせようとしたが、
見たことのない表示のあと、電源は切れそのまま動かなかった...。
眠るには高揚していたし、狭さに落ち着かなかったけど、
目を閉じてしばらくしたら、眠っていた。
目が覚めて携帯の電源を入れてみたら、ちゃんとついて一安心。
7時半になっていた。
このカプセルは時間の感覚がないのがどうにも性に合わない。
外に出れば、強い雨...。傘は置いてきてしまった。
どのみち濡れて帰るしかないだろうと、雨の中歩いたが、
寒い... これはまずいな...と、体から脳へ訴えるように寒かった。
電車のまばらな乗客が、なぜだか皆なにか訳ありのように見えて、
笑いそうになった。
雨は降り続き、バスに乗って帰宅。
やはり自分の家は落ち着く。
熱い風呂を沸かして、雨の音を聴きながらゆっくり浸かる。
ぼんやり、このまま降り続けばいい...と想えた。
すこしだけ眠り、目が覚めれば、あとはいつもの休日。
すこしだけ、
なにか変わった気分。