やっぱりよかった...。

 
コーラス メモリアル・エディション [DVD]
詳しいあらすじを知らずに観た冒頭、
指揮者役のその老いた顔を憶い出し、ハッとした。
ニュー・シネマ・パラダイス [DVD]』で成長したトトを演じた
ジャック・ぺランその人であった。
後々確かめてみれば、この作品の制作者としてクレジットされており、
その時点でもう感動を約束されたかのような、
密かな確信がじんわりと広がっていた気もする。
 
青春の光と影。
荒んだ目をした子どもたち。
いかにも心ない雰囲気の校長。
わざわざその対極に映らせるかのような用務員。
「やられたら やり返せ」
雇われ舎監は、夢に破れた"音楽家崩れ"。
来ることはない父親を土曜になると門前で待ち続ける幼い少年。
歌の才能がないことから譜面台として扱われて、
やり場のない葛藤を抑えきれない少年。
救いようのない悪才から見捨てられて、
追われた学校へ火をつけてそれをしてやったかのように眺める少年。
そして、鬱々と周りに合わせては、
そのもやもやを仕方なく悪戯で紛らわせる、
奇跡の歌声を持つ少年。
様々なピースが、時に忙しく時に穏やかに現れては輝いてゆく。
エピソードの散らばり方が断片的で、しみじみ浸るのではなく、
追っかけてゆくような印象はあるけれど、
子どもたちが笑顔に変わってゆく様、舎監マチューの悲喜こもごも、
そして二度ほど挿入されたかと憶うが、
合唱隊のコーラスをバックに映し流れてゆく、
校庭で生徒が遊びまわる映像の美しさ。
合唱隊が、賞などに向かって...というお決まりの下世話さがなく、
ただただ「音楽」に触れることの素晴らしさを、
観る側がマチューと同様に感じられるよう意識された創り方も後々沁みてきた。
まるで、チェブラーシカが人間に化けたらこんな感じかなぁというくらいに
可愛らしいペピノのエンディングでのサプライズも微笑ましかった。
"奇跡の歌声"モランジェ役のジャン=バティスト・モニエ少年が
目立ってしまう作品のようですが、
他にも濃いキャラばかりですし、"影"の部分も付せ合わせて観ると、
なかなかせつなく...、なんて、余計なことを書かずとも充分、素敵な映画でした(笑)
 
 

オフィシャルサイト : http://www.herald.co.jp/official/chorus/