fleeting joys / despondent transponder


 
この出逢いに、
ある人は、せせら笑うかもしれないし、
ある人は、驚きのあまり固まってしまうかもしれないし、
ある人は、待ちわびた涙を流すのかもしれない。
ただ、大体の人にとってこれから書くことは、
好事家の大げさな戯言に過ぎない。
 
my bloody valentineLoveless』を金字塔として、
エフェクターばかり気にしてうつむいて演奏しているからと流布された、
軽い蔑称とも受けとれる"シューゲイザー"は、
今でこそ、根強くひとつのジャンルとして定着した感もあるけれど、
当時、僕等が求め待っていたのは、『Loveless』のその先であった。
やがてそれはいつからか、
あの音像をなぞった続きでもいいから... と、
禁断症状にも似た発作的欲求へと変わっていった。
失われた面影を求めるかのように、
愛なき売り文句とわかっていても、
マイブラ云々と書かれたアーティストに触れては、
虚しさに包まれなしくずしてゆく日々を過ごした。
 
最近ではもう、見過ごすことが多くなった謳い文句だけれども、
アラン・マッギー*1が絶賛しているというコメントに微かな希望を抱いて、*2
ジャケットから得られる情報には、
まったく馴染みのないインディーバンドを聴いてみた。
驚いた...!
カリフォルニア出身という男女二人組が紡ぎだす音群は、
Loveless』のアウトテイクと言われても信じてしまいそうなほど、
虚ろなヴォーカルから音の歪ませ方やテクスチュア、アルバムの曲展開まで、
細微に渡って過剰なオマージュのごとく似ているのに、
不思議と嫌みがない上にもっと欲しくなってしまう。
7曲目なんて、聴いてて泣きそうになった(笑)
マイブラよりも"メロディ"への意識が強いように感じられて、
ラジオでの評判が高いという情報も頷ける。
緻密さよりもどこかクールな佇まいとバンドっぽいざっくりした印象が強いし、
ここまで辿り着ければたしかに潔いと想う。
 
Loveless』のその先とまではいかないけれど、
あの続きを夢みさせてくれる、紛うことなき正統な継承者である。
それにしても、"fleeting joys"とは、
"儚い喜び"とでも訳せばいいのだろうか...。
似合い過ぎていて、余計に感じ入ってしまう。
21世紀の"Kevin & Bilinda"という煩わしさから逃れて、*3
"John Loring & Rorika"は、僕等をこの夢の先へと連れていってくれるのだろうか。
 
http://www.fleetingjoys.com/
http://www.myspace.com/fleetingjoys
diskunion ROCK WEB SHOP
 

fleeting joys / The Breakup


やっぱりプロモまで似てるけど、こっちはパンキッシュ...?(笑)
Rorikaはレフティなんだなぁ。
アルバムのオープニングトラック。
 

 
 

*1:Alan McGee 参照 : クリエイション・レコーズ - Wikipedia

*2:でも、Guitarはまったく好いとは想わなかったっけ(苦笑)

*3:そう呼んでいるのは僕だけですが...