■
小林伸一郎『亡骸劇場 (JAPAN DEATHTOPIA SERIES)』を目にして。
廃墟写真ならなんでも好いわけがない。
むしろ、廃墟の写真が好きというよりは、
小林伸一郎と丸田祥三*1の写真が好きだと言う方が正しいのかもしれない。
僕は、写真の技術的なことはまったくわからないけれど、
この二人の写真家の作品集には、心の底から震え上がる感動があった。
それぞれの写真から叫び声を聞いた。
こういった衝撃は、技術云々を意識して接してしまっては、
けして感じ得られるものではないと想ってここまで過ごしてきているけれど、
『亡骸劇場 (JAPAN DEATHTOPIA SERIES)』の巻末インタビューで、
今までどこかぼんやりとしながらも近い質感を憶えていた、
William Eggleston,Stephen Shoreに関して、
作者本人が意識していたことは驚きであったし、
その類似性のポイントとして挙げられていたのは、
「ネガカラーフィルム」での撮影ということで、
こういった点を不勉強の自分には言われて納得することすらできず、
見る人が見れば当たり前のようにわかることなのかもしれない。
それにしてもこの写真集の被写体は凄い。
そしてそれらが放つ白昼夢的な負の力と、その美しさを見極め補う写真家の力の結晶。
一度目にしたら、こびりついて離れない...。
下記にて、展覧会が催されます。ぜひ。
銀座ニコンサロン : 小林 伸一郎展 [亡骸劇場(ナキガラゲキジョウ)]
2006年 7/10 (月)〜7/22 (土)
*1:『棄景/origin』もすごいぞ! http://malta.cside.com/