仕事を終えて、新宿へ。
6時45分の待ち合わせに遅れてしまうなぁ...と想いきや、
東口へ着いた時点ではまだすこし余裕があった。
にもかかわらず...自分の方向音痴と出不精ゆえの無知のために、
目的地まで携帯越しに案内されながら、オロオロ彷徨った。
今夜は、高校の陸上部の面々と久々に再会。
同級生2人と一学年下が3人。
もうすこしいるのだけれど、残念ながら都合がつけられず、
逢って早々、次回も近いうちにという話になった。
 
自分の高校生の頃の印象として、
気分屋で、バカ丸出し、恐いもの知らず、天真爛漫...と、
人それぞれにあるらしいけれど、今でも変わらぬ表情もあれば、
すっかり影を潜めた部分の方が多いような気もする。
しかし、それは内面的な話であって、
卒業以来、十年ぶりに顔を会わせる人間であっても、
他人から見た自分、自分からみた他人ともに、
不思議とそれほど変わりはなかった。
すこしばかり経年による蓄積が見て取れる者もあったけれど...(笑)
 
ビールに焼鳥をつつきながら、
これでもかと、想い出話に花が咲き、また種を蒔いては花咲かし...。
ぼんやりながらも驚く程に、埋もれていた記憶を穿り出されて心地好かった。
まだ日吉の学生寮に住んでいた頃は、
通学ルートに自由が丘、中目黒、渋谷、下北沢とあったので、
部活が休みの日には、
しょっちゅうCDや服を観に行ったりしていた。
今憶えば、痛々しい流行の波に攫われて、
恥ずかしいカッコマン気取りだったっけ...。
部活が終わってからも、延々くだらない話ばかりで盛上がって、
先生に叱られても懲りない日々。
楽しくないことや辛いこともたくさんあったろうに、
こういう席では、なぜかまったく浮かんでこない。
 
僕等の学年は男子五人しかいなかったにもかかわらず、
秋の都大会新人戦の400mリレーで3位となり、
しかもそのうち一人は、怪我上がりの危なっかしい状態だったために、
春には関東大会出場も確実で、とても勢いづき盛上がっていた。
しかし...
春の本番を前にして、自分も含めた主戦3人が怪我のため出場できずに、
最後の四人目として入って3年になって部長を務めた、
本業は中距離選手がアンカーを走る緊急事態となった。
結果は、予想通り、散々なものだった。
 
僕等の学年は男子五人で、自分で言うのもなんだけれど、少数精鋭だった。
今ではもう、皆揃って顔を合わせることはできない。
ひとりを不慮の事故で失ったからだ。
哀しいというよりも、その現実にそぐわない違和感ばかりと、
告別式でのうだるような暑さと眩しい陽射しが記憶に残っている。
その時は、しばらく顔を会わせていなかった自分等を、
彼が引き合せてくれた...などと言って、気まずさを紛らわした。
その後の墓参りが続いたのも、二年後くらいまでで、
仕事に就いてからは、誰からか話が出ることもなくなった。
 
そんな話も、酒の場では前向きに捉えられて、
ひさしぶりに墓参りに行こうと皆頷きあい、
今度ばかりは実現しそうな気がした。
 
僕と部長だったSとは、しょっちゅう一緒にいるくらい仲が良かった。
そんな彼とでも、3年くらいまったく音信不通な時期があった。
実は、後々彼から詳しく聞いたのだが、これには笑える事情があって、
Sが、しばらく連絡とっていなかったからと、
まだ携帯を持っていなかった自分あてに当時の自宅へ電話してきた日のこと、
同居していた父が、たまたま帰省していた折に、
「田舎に帰ってしまったんですけれど...」と話したらしく、
それを都落ちと勘違いして、衝撃を受けながら他の親しい先輩にも、
なんか島に帰ったらしいですよ...嫌なことでもあったんですかね...と、
話しまわったらしい。
数年後、同じ駅を使っている先輩と偶然総菜屋で遭遇し、
おまえ島帰ったんじゃないのかよ〜!?となったわけであります。
それからは、部活絡みでなにかあると、
連絡無精な自分に代わって、先輩たちとのパイプ役となり、
先日もいつのまにか目と鼻の先にできていた先輩の名を取った飲み屋で、
交流を確かめたのでした。
 
そんな彼から、帰路、こっそりと結婚の報告を受けました。
まだ正式に日取りが決まっていないからと、
限られた人にしか伝えてないそうだけれど、
まず自分に教えてくれたことは、やっぱり嬉しかった。
そして、まだまだ結婚するはずないような雰囲気を持っていたのに、
しっかり人生を積み重ねている様にじんわり驚き、
自分のふがいなさに溜息...。
いかんいかん...と、苦笑ながらに色々つっこんでみるも、
やっぱり現実は大変らしい。
それでも、そう決めただけのおおきななにかに包まれている、
満ちた表情が確かにそこにはあった。
 
夏までに、3人の結婚式に出席することとなっているが、
こういう席は正直苦手なのだけれど、良い機会だと想って、
いろいと勉強させてもらうとします(笑)
そして、これからしばしば顔を会わせることとなりそうな、
高校時のメンツとも、末永くつきあっていければいいなぁと。
ギリギリ間に合った終電を降りて、すこし肌寒い夜道、
ほろ酔い早足で歩きながら、自然に心小躍りする午前様でした。