Euphoria / A Gift From Euphoria

 
Gift From Euphoria
 
まさに奇跡的な傑作。
なにが奇跡かと言えば、
一聴して、大袈裟で滑稽な程の
オーケストレイションやコラージュを纏いつつも
そこに埋もれることのない美しいメロディ、
どこか虚ろだが、演劇的に装うヴォーカル。
コンセプトアルバムと受けとめられがちだが、
果たして、本人達にそんな意図があったかどうか...。
それでもその筋に感じやすいくどさとは無縁で、
どこかひとつの彼方に向かう狂想曲群といった趣きだ。
このバランスが奇跡的と言われる所以ではないだろうか。
そして、僕がこの1969年に男二人が残した音盤に
惹かれ続けるのは、聴いた後、否応無しに胸に残る
切実さと儚さなのである。
言葉がわからなくても、音や響きで感じられるものがある。
きっと、このアルバムがサイケデリックと括られるのも、
表装的なスタイルだけではなく、
滲み出ている彼等の叫びを讃えてのものだと信じたい。