外苑前にて。

高校の同級生で今も親交のある数少ないうちの一人で、
僕の朧げな記憶によれば、入学して最初に仲良くなったSの、
結婚式の二次会へ出席。
いつもの仲間の女子(とかつて呼ばれた)二人と駅で偶然鉢合せて、
まずは一年ぶりの再会に安堵した。
ほとんどが十数年ぶりに逢うかつての男子達、
外面は皆まったくといっていいほど変わっていなかったことは、
嬉しい驚きだった。
一番の変化といえば、
高校時代、頑にカラオケの誘いを拒みつづけていた新郎が、
新婦とペアTシャツでホニャララGTの曲を熱唱していた姿だとしみじみ感じた。
空腹とどこでも場慣れしない性格をビールで麻痺させながらつまみをほおばり、
結局ピッチャーを二度も変えてもらうほど飲んでしまった。
だんだん心地好くなりつつ旧交を温めつつこの先の夜も約束しつつ、
人生初の、顔は憶えているけど名前が出てこない!なんて貴重な経験も踏まえて、
一番印象に残ったことといえば、
新郎が自分をつかまえて、
こいつ凄く文才があってさぁ!絶対将来賞とかもらうから!と、
新婦に熱弁していたことだった。
冗談... と呆れながら受けとめつつも、嬉しくなってしまった。
もう人様に読んでもらいたいと想う文章を書く気力は、
いつのまにか枯れてしまったけれど、
そう感じてくれた人が、しかも自分の親しい人のなかにいたことは、
なにかとても大切な過去からの贈り物のような気がした。
 
こちらこそありがとうございました。
末永くお幸せに!