「昨日の夜、なんかすごい不安になっちゃって...
 眠れなかったんですよ。」
僕は、具体的にどういうこと?と聞いてみたが、
「いや、なんていうか... 不安になっちゃって...
 う〜ん、いや、いいです。すいません!」
彼は、笑ってそう答えた。
もう、6、7年も前の話だ。
なぜだかずっと忘れられないでいる。
もしかしたら、
笑顔の奥には深い闇が隠れていたのかもしれない。
誰かに話すことでその漠然とした"不安"を、
少しでもかき消したかったのかもしれない。
いずれにしても、今ではもうどうすることもできない。
彼は、元気だろうか。
 
3時過ぎに床に就き、
ようやく眠りはじめたかというくらいに、
地震が起こって目を覚まされた。
動悸が激しく、気分が悪くなり、
ひさしぶりに、つかまりそうになった。
 
けれど、いつのまにか眠っていた。
やっぱり、僕はもう大丈夫なのかもしれない。
だから、きっとあなたも大丈夫ですよ。