読了。

適当論 [ソフトバンク新書]
結局、十月は邪魅一冊に尽くしてしまった。
読み疲れて燃え尽き気味だったので、読みたいものは数あれども、
踏ん切りつかず煮え切らないまま音に揺られて過ごす電車内...
あぁそうだ...!と気軽な気持で読み始めたのが、この一冊。
半分くらいは、心理テストもあったりして、
自己啓発本になっていたんで呆気にとられたけれど、
研究材料になってしまうのもまた傑物だっていう証ですかね (笑)
それにしても、
「俺も100mなら10秒かからないで走れるよ。
 バイクでだけどね。」
「キミ、クレオパトラに似てるね。
 まぁ、会ったことはないけど。」
この〜だよ。/〜だけどね。の高田純次的話法あるいは文法の、
研澄まされ方には恐れ入った。もはや芸術の領域だ。
心には常に下ネタをがモットーのようで、下ネタもセンス次第では、
雑学ばかりひけらかしたがる野郎どもを凌駕できるのでは?という、
すごく道を踏み外しかねない希望的感覚を受けた。
今でも憧れているというのが横尾忠則で、
デザインを勉強しようと想ったのも、彼の影響らしい。
『Y字路』*1をはやく観たいんだというくだりには、なんだか嬉しくなった。
どういう出自で今があるのかまったく知らなかったのだけれど、
東京乾電池という有名な劇団にいた経歴もあり、すっかり見直してしまった(笑)
和田秀樹の分析でもバランスを重視する人だと書かれていたけれど、
彼は多くを望まず、あらかじめ諦念に貫かれている姿勢がとても印象的だったし、
そのくせ仕事には一生懸命で、親しい人の間では働き者として認知されているとか。
それに世間のイメエジを裏切ることもなく、かといって変に意識して気負うこともなく、
彼は彼なりの素朴ともいえる自意識に従順に過ごしているだけなのだが、
観るものにとってはとても新鮮かつ羨望の的として映ることが、
あのスタイルで一線に残っていられる才能でもあるようで、
余計に凄いなぁと感化されてしまった(笑)
日芸入りたかったらしいし、なんだかんだ芸術家肌なんですね。
そこがまたなんだかかっこよく想えてしまって... 困ったもんだ。
 
さて、次はなにを読もうか...。
貸してもらったテレプシコーラも読まないと!
なんてったって読書週間中ですからね〜。
新書は遅読の自分でも、
その気になれば一日で読めてしまうような本ばかりなんで、
どんどん積ん読しているものを片づけていかねば!
まぁ、その気になれば...なんだけどね。