三楽日記 (終)

父が早朝に無事退院した。
先月の24日に入院してからの一ヶ月。
当初は慣れない非日常にそわそわしながら通っていたけれど、
こちらまで緊張した手術を無事終えてからは穏やかな日々へと流れ、
休日や仕事帰りに病院へ寄るのが当たり前のようになった。
 
これを書いている今はもう六月。
退院して特製コルセットだけになった父も、
毎日のように付き添い、疲れも相当なものであっただろう母も、
以前と変わらぬ故郷での二人暮らしに戻った。
 
この日は、仕事帰りに代々木上原へ向かい、
妹が予約した"看板のない高級料理店"で、退院を祝った。
 
獏 -BAQU- : http://www.baqu.co.jp/
 
カウンター越しに厨房がありシェフと向かい合ってお喋りしながらの食事となった。
最後の方は疲れてきたけれど(笑)、ほろ酔いも手伝ってなかなか楽しめた。
肝心の料理は、決まったメニューが一切なく、
その日仕入れた食材から、客の要望や話を聞いて創るスタイル。
最初の何品かはシェフからオススメの料理を出される。
野菜と魚中心のあっさりした、しかし旨味のある皿が続いた。
ナントカ蟹をまるごと頂いたが、美味しくて止まらなかった。
その後はこんなのどうですか?と話しながら、
選んだのは豚の生姜焼き!(笑) まさかこのような店で生姜焼きを食べるとは...。
しかし、腹七分ほどになっていたので、これで腹一杯胸一杯になるだろうなぁと、
締めのつもりで食べ始めたら、流石に「普通の生姜焼きは創りません」と、
今日だけで何度目かの"普通じゃない"宣言を受けての皿は、
ビックリする程美味くて、さらに食欲が増してしまった(笑)
もちろん肉は上等、豪快に青葱をばらまき、
添えた緑*1がとても合っていた。
そして、特製のタレがとても美味くて皿に残った分だけでも持ち帰って、
白米にかけて食べたい気持に駆られた。
その後は本当に締めのごはんもの。
三種類から選ぶことになって、ネギの炒飯を僕の強い意志で決めた。
しかしこれも普通のネギ炒飯ではなく...
シェフの話をよく聞かずにネギの多い炒飯だとばかり想っていたら、
出て来た皿は、もう、ネギ七割!の炒葱!
目にしたときは流石に顔が引き攣ったけれど...
これがしっかり食べることができたんだから凄いよなぁ。
炒飯だと想ってがっつくと違和感あるけれど、
葱料理だと想えば目からウロコの創作料理。
正直もうすこし、肉っぽいのがあればもっとよかったですな。
最後は、特製のあんこ入りバナナミックスラズベリージェラートでお開き。
支払った額もそれなりだったけれど、満足度もかなり。
しかしまぁ、一種の贅沢ですから...自分では好んで来れないなぁ(汗)
こういう支払いを領収書が切れる職種がうらやましい(笑)
父と母をもてなす夜だったけれど、
さすがの長丁場に二人ともやや疲れたようだった。(苦笑)
次回は、結婚三十周年を改めて祝うように自分が店を見つけたい。
なにはともあれ、激動の一ヶ月はこうして無事幕を閉じるのでした。
それでも、これからの日常が父にとっては大切なわけで...
気をつけて暮らしていただきたいです。
 
 

*1:これがポイントだったのに何か聞くのを忘れた...