天国には行ってねぇだ。

原宿にて、高校陸上部時代の同級生女子の結婚式二次会参加。

 
当日、メールで19時半までと知り、愕然...。
急いだって19時は回ってしまう。
仕事を終えて、その日で最後の研修生との別れを惜しみつつ、
シャツとネクタイだけ着替えて、夕暮れ電車に飛び乗った。
様子を伺うためにかけた電話先の同級生から、
その後にでも飲もうや〜という話になり、
案内に従って急ぎ足。
原宿なんて何年ぶりだろう?派手目な人混み。
ようやく着いてみれば、案の定、祭の後の雰囲気。
それでも、見知った顔の中へ分け入り駆けつけ一杯。
見当たらなかった新婦もお色直して再登場。
新郎からのあま〜い手紙のお披露目などを見届けて、
あっという間に終宴。
しかし、三次会の店も取ってあるとのことで陸上部一同向かった。
なんとなく見憶えのある通りを渡って、
店に着けば、まだ準備中とのことで、しばらく待たされた。
 
今では裏原宿とも呼ばれるその通りはたしか、
「プロペラ通り」と呼ばれていたはずだ。
十年一昔、度々通った話をしながら、あの店はどうした?と盛上がった。
久々に観てみようぜ!と、言い出しっぺは張り切ってみたものの、
僕は、既に"閉店"という当時は信じ難かった事実を知っていたので、
そう告げてみれば、彼にもかなりのショックだったようだ。
「プロペラ」という所謂"アメカジ"セレクトショップの老舗は、
自分たち世代にとっては、ある意味聖地的な存在だった。
独特な品揃え(そして匂い!)、我が道を行くスタイル、
流行発信基地でもあり、廃れないスタイルを提示する定番処でもあった。
一階のギャラリーのような佇まいの店内には、
旧き良きアメリカを感じさせる品々が幾つもあって、
さすがにまだ高校生だった自分には背伸びしても届かない遠い世界の貫禄で、
ただただはぁ...とかへぇ...とか感嘆していたように憶う。
うろ憶えの足取りで遠い残像を追い求めて歩いてみれば、
やはり、それらしき外観の場所はすっかり違う店に変わり果てていた。
十年一昔。あの店でなにを買ったのかすらさすがに憶えていない。
 
三次会、空きっ腹もあって二次会の分を取り戻そうと、
調子に乗ったのがいけなかった...。
乾杯用に、飲口に塩のついたグラスを用意され、
大きなボールから掬って飲んだ酒は、名前を聞き忘れたが、
ソフトで甘口とはいえかなりのアルコール濃度が感じられた。
途中、食べ物が少なかったこともあり、話が盛上がるに連れて、
ついついグラスを口に運ぶ回数も増えてしまった。
これがまた美味いんだから続いちゃうわな。
さらに甘口な瓶ビールを何本か挿みながら、
気持ち好くなっちゃって...気づいた時にはもう遅かったよなぁ(泣)
何度目かのトイレに立ったら、急に酔いがまわってきた。
これはまずい!と、トイレで何時以来か記憶にないほどのBarf!Barf...。
へろへろと朦朧とした意識の中、ノックの音が聞こえた気もした。知るかよ...
それからはもう散々で...げんなりして席に戻った自分に気づいた、
我々の代の気配り部長が、締めの号令をかけてくれて、お開き。
新婦に一言挨拶をして、そそくさと退場。
救世主にも愛想なく別れを告げて、目に留ったタクシーをつかまえた。
飲み進めるうちに、心の隅ではどっかりと、
代々木上原の妹の部屋に泊めてもらう」という浅はかな考えが居座っていた。
たしか、
タクシーに乗った自分は運転手に代々木上原駅までと告げた後、
妹に電話して居るかどうかを確かめてみた。
そこで出なかったらどうするつもりだったんだよ...(汗)
うまいこと、妹は無事在宅。そこから呆れた声で指示を出した。
自分の言った通りに運転手に伝えて、そこで下ろしてもらえと。
へろへろな状態で、伝えた(つもり)後、吐き気を抑え込みながら、
いつのまにか微睡んでしまったが、あっという間に起こされた。
そこで起こった奇妙な出来事...。
 
運転手は、1060円ですと言った。
おぉ安い!やっぱり近いんだ...とホッとしながら、
小銭も揃えて差し出せば、なぜか二十円返してきた。
もしや...この運ちゃん、
あまりの酔いどれ姿を哀れんで、二十円負けてくれたのか?
それとも、おまえからもらう小銭はニェエ!と半端に見下されたのか?などと、
浮かんでは消えたのだけれど、たぶん聞き間違えただけなのかもしれない。
しかし、クライマックスはこれからでした!
 
降ろされた場所は、工事中の道路...。
なんだこりゃ?他にはなにも見えませんでした。
泣きべそかきながら、へたへたと近くの歩道橋の階段らしき場所へ座り込み、
階下を見下ろしながら、この先は絶望へと続くのかも...と、Re:Barf...
不思議と誰も歩いていないのが妙で、恐くなって想いきって階下へ。
降りて眼前に開けた道の向こうは、なんてことはないどこにでもありそうな街並。
点々と店の灯もまだ見えて、すこしホッとしながらも、
結局は宛も無く歩きながら、再び妹へ電話して、
その時なりに精一杯の意識を研ぎすませながら、場所を伝える。
しかしまたぐらついてきて、しかもまた工事中の道路へと戻ってきてしまった。
あぁ僕はなんてダメなんだろう...この夜の果てへの旅は長くなりそうだ...と、
途方に暮れていたら、向こうから白い影が...!
そう!我が妹は、あやふやなキーワードから自分の居場所に感づいたのでした!
さすが二年以上も代々木上原に住んでないよね!
その白くぼんやりとした姿は本当に神々しく映りました。
救助された三十路前の酔い潰れは、誘導されるがままにとぼとぼ歩き、
やがて見憶えのあるアパートへと吸い込まれて、
そこにはなぜか母親の姿もあり、ひどく呆れられました...。
そこからまたちょっとした自分との闘いがあったんですけどね...(苦笑)
もういいでしょう...。
とにかく路上で眠るハメにならずに助かりました。
いやぁ兄妹愛って素晴らしいですね!
それにしても、妹の部屋はいつになく...といってもこれで二度目ですが、
同居していた頃からは想像がつかない程の居心地の好さでした。
大きなソファ欲しいなぁ。
 
 

残響 in my head...

ルシアン・ヒルの上で

ルシアン・ヒルの上で

グッバイ!おれたちの〜...
置去りにされた... フンフフメロディ...
ウォウイエェイイエェイイエェ〜...ソーファラァーウェ〜... って、
なんでかずっと鳴っていました。すんごく懐かしい。
たぶん今聴いても好い曲だろうな。