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しがない書店員が手に取った気になる本たち。
- 作者: 川上弘美,門馬則雄
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2005/09/01
- メディア: 単行本
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そりゃあ好きな人の日記ですから!
にやにやしながら読んだりして。
東京人をまだ読んでいた頃...(苦笑)
楽しみにしていた連載が本になりました。
もう随分と昔のことのように憶うけど...
『東京日記』というタイトルは、控えめに。
あぁ、この店はあそこだ〜とか、
このともだちは、あのひとかな?とか。
嘘日記の『椰子・椰子 (新潮文庫)』も好かったけど、
"5分の4は本当日記"のこちらは、もっと好いかも。
こんな日記を書けたらなぁと想います。
- 作者: 中野純,中里和人
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/09/17
- メディア: 単行本
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"路地と闇の写真家"といえば? こじつけだろうが、中里和人。
このコンビでの三作目は、特殊な観光ガイドしても楽しめる一冊。
闇山、闇海、闇街、闇線路、闇空、闇猫、そして...闇蛾まで。
以前のどこか幻想的かつ非日常的な雰囲気よりも、
生々しさというか、"観ている"ような写真が多い印象。
各項における、締めの(決めの?)台詞が好いです(笑)
読んでのお楽しみということで。
出版記念の写真展が催されるようです↓
ギャラリー冬青 中里和人写真展「闇の蒸発」
- 作者: 田中昭二,中筋純
- 出版社/メーカー: 東邦出版
- 発売日: 2005/07
- メディア: 単行本
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こちらも『廃墟、その光と影』のコンビでの続編。
玉石混交乱発傾向も感じる、廃墟本のなかでも、
このコンビでの前作は、けっこう好みだったので(笑)、
こんなの出てたのか〜と嬉々として、覗いてみれば...。
これは、今までに観たことも感じたこともない世界。
色彩も光彩も意識してか、廃墟では珍しい、
原色的な風景や、鄙びたけばけばしさが映し出されています。
これがまた不思議と感傷的な印象が強く残り...
これは写真の妙なのか、ラブホテルという意識からか...。
名前も、セリーヌ、ブルー・シャトー、ロンドン、ドン・キホーテまで...。
しかもそれぞれが、かつて栄えた一国の城かと、
観間違うくらいの頽廃美に包まれて...。
ただただ浸っていたいのです。
惜しむらくは、フルカラーでお願いしたかった(贅沢ですね)
付録のDVDが観たくてしょうがない、肌寒い夜、憶い巡らす。
- 作者: 中村好文
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/09/21
- メディア: 大型本
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瞼と心に焼き付いた「意中の建築」への想い、印象、魅力を語った素敵な本。
写真や、著者自身のやわらかいイラストだけ見ていても好いけど、
文章がまた面白くて、著者の気さくな人柄も窺えます。
建築っていうと、自分などはどうにも"ツントオスマシ"的な敷居の高さを感じて、
興味はあるものの、端から眺めるばかりでしたが、
これをきっかけにしても良いのでは?とも想いました。
中でも印象に残ったのは、テレビ東京『美の巨人たち』で紹介されて、
魅了された「マティスの遺した光の宝石箱」。
もう写真だけでも充分なのに、そのエピソードや、
著者の言葉を読んでいたら、とてもとても行きたくなりました。
いつかいつかばかりの夢想が、現実になる日が来ればいいなぁと想います。
あと、タルコフスキーの『ノスタルジア [DVD]』も、観たくなってしまった!
こちらは上巻と来れば、下巻も同時発売でございます。
『意中の建築 下巻』
- 作者: 秋元康
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/09
- メディア: 単行本
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帯で、村上隆が、"魔法のクスリ"なんて書いている...。
なんだかツッコミどころ満載の本かと想いきや、
どんどん見入っていく自分...(笑)
まずカバーが凝っている。1ヵ月分のなにげないコピーと写真も好い。
欧米でもブームを呼んでいる"origami"、「おとなのおりがみ」。
この本は、"天性のトレンドセッター"秋元康による
想像力、哲学、才能、やさしさetc...を混ぜ合わせた仕掛け絵本のようだ。
しかも作品としても、澱みがない。
サンプルとして掲げられた30種のおりがみは、目を見張るほどの美しさで、
それはきっと、失恋から立ち直っていく自分自身に重ね合わされてゆくのだろう。
構成も素晴らしい。いやいや恐るべし...。
もちろん、失恋しなくても読んでみてください。眼からウロコ本。
- 作者: 節子・クロソフスカ・ド・ローラ,夏目典子,芸術新潮編集部
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/09/21
- メディア: 単行本
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『ラブレーの子供たち』の表紙を観て以来、
気になっていた画家についての本が、タイムリーに出版された。
"孤高の画家"、通称「バルテュス」。
先日、検索していて辿り着き魅了された、初期の傑作『街路』を始めとして、
誤解も多く招いた、どこか奇妙で不思議で、
落ち着かない雰囲気に溢れた、歪な世界。
ただ、そこに魅せられた人は、けして少なくない。
「私にとって、少女は神聖かつ不可侵な存在、完璧な美の象徴なのだ。」
『窓辺の少女』という美しい絵の、隣のページには、
その絵のモデルの少女が、そのまま振り返ったかのような写真が載っている。
作者のバルテュスと並んで...
もうそれだけで、なにかとてつもないものを目にしたような気がした。
気になっていた表紙の絵は、『地中海の猫』という題名。
代表作の『美しい日々』とは...
片山健の鉛筆画処女作の題名は、ここから取られたのだろうか?
だんだんと深みに嵌りそうな予感...。
関連本: