友部正人 / もう春だね

春を感じ始めると、真っ先に憶い出す曲。
友部正人を知ってから、もう何年経ったのか。
これまでに聴いたのはこの曲と、
大阪へやってきた』だけである。
友部正人という"響き"は、
自分にとっては、とても甘美で崇高なものだった。
それゆえにその本体には近づけない。
しかしずっと忘れることはなく、
情報やら関連盤やらは収集している。
他人からすれば、顔をしかめる話であろうが、
これはもうある種の性癖?と呼ばれても仕方がない。
しばしばある癖なのである。
 
トーキングスタイルなのにメロディを感じさせるところ。
夏のぬけがら』でも聴ける素晴らしいハーモニカ。
ここらへんが和製ディランと呼ばれた所以なのだろうか。
この曲の詩は、谷内六郎の絵を想起させる。
現実の世界にぽっかりと幻想が顔を出して、
こちらに語りかけてくるような。
想い出のなかの強い印象を
極端なまでに色濃く浮かび上がらせる。
乱暴に書けばそんなイメエジ。
友部正人谷内六郎...あまり並べて語られることのない両人。
想いつきで書いてみた訳ではないのだが、
随分といい加減な印象の羅列ではないか?
それもこれも春だからなんだろうか...。
しかし、まぁ、ほんとうに、もう春だね。
 
URC シングルズ(2)』に収録。
 

『谷内六郎文庫』全三巻

北風とぬりえ (谷内六郎文庫 (3)) 遠い日の歌 (谷内六郎文庫 (2)) 旅の絵本 (谷内六郎文庫 (1))
文庫の価格じゃあないだろう...けど、
この値段でまちがいない。決定版。